
伝染するまえに(第二話)
スポーツの魔法には様々な種類がある。
- 全力で立ち向かう選手の姿に感動を呼ぶ魔法
- 選手の生き様を自分にダブらせて擬似体験する魔法
などがあるけれど、僕たちは
- たった一言のアドバイスで突然成功してしまう魔法
を取り扱っている。
そのためには
僕たちの話が信頼に値することが絶対条件であることが必要で、
信頼を得るためには、その種目の理解、経験のほかに
- 信頼に足る人間性のこと
- 信頼に値する科学に基づいていること
が最低でも必要になる。
僕に届いたメールにはそれが行間に書かれている
「私は走高跳びをしています。
コーチからもっと高く跳べと言われます。
もっと高く跳びたいのは私も同じです」
もっと高く跳べ
もっと高く跳べ!
は指導ではない。ジャンプが低いという感想を愚痴っただけだ。
高いジャンプを期待していたけれど低かった時
思考を介さずとも
「低っ!」
と言葉が漏れ、
「もっと高く跳べよー」と愚痴る。
指導者から発する言葉が愚痴だけだったら悲しすぎる。
選手の士気をさげるのに最高の呪文は
愚痴る、ののしる、どなる、嫌味で、
その呪文を聞いたが最後、100%その影響を受けて士気がさがる。
はやくメールの主が連絡をくれないか。
そのままいると、君も士気を下げる呪文の餌食になって
もう逃れられなくなってしまう。
そして君の口からダークな言葉が溢れ出るだろう。
噛みつかれたらゾンビになる形式で、
ののしられたら、スポーツゾンビになって
次から次へと伝染してしまう。
はやく、連絡をくれ!
まだ間に合うはずだ。
躊躇していてはいけない。
ゾンビになる前に、今すぐ連絡をくれ。