スポーツの魔法使い(第一話/試される)

スポーツの魔法使い(第一話)

「私は走高跳びをしています。
コーチからもっと高く跳べと言われます。
もっと高く跳びたいのは私も同じです」

彼女からの相談メールにはこう書かれていた。

私からの返事は理由は割愛するが次のようにした。

「人を高く舞い上げるためには次の条件を確認するところから始めればいい。

走高跳び確認事項
  • 腕と振り上げる脚はあらかじめ空中に向かうベクトルを持っているか
  • 踏切る足の一歩前の足のとき、ハーフパイプの底のように重心がもっとも低くなっているか
  • 助走の最後から3歩目は跳ねずに前に向かうベクトルの推進力を持っているか

この意味がわからなければこの条件の全てを放棄したまま
競技を続けることになるがこの意味を知るかどうかは
君に選択権がある
意味を知ると決めたら連絡を
意味を知る必要がないと決めたら幸運を祈る」

少々乱暴だが長々書いてもポイントがボヤけるだけになる。

スポーツ上達の材料
  • 自分の成長のために未知の情報に興味を持てるか
  • その情報を信じるに値すると判断できる基準を持っているか
  • 人に価値があるのではなく、情報に価値があると割り切れるか

これらを持ち合わせていなければどんなに優れた情報でも
うまく利用することは困難だろう。

できる限り人の印象に残らないように私は存在している。
それでも情報を渇望している選手はどうにか見つけて接触してくる。

情報が溢れている今の時代、本当に良い情報に出会うのは逆に難しい。
正しくを選ぶことができなければ、情報発信者の奴隷に落ちる。

かくゆう私もその「情報」に過ぎないから慎重に選ばれるべきだ。
だから選択肢を与えて選んでもらうことにしている。

正しい情報を確実な理解のもと効率的に身につければ
考えられない速度で人は上達を始めるのだ。
そのときスポーツに魔法がかかる。

走高跳びの返信はまだ来ないようだ。